Ａ級学府にＢ級グルメ　　　金沢市・金沢大学周辺

　金沢城から東南東に約５キロ。浅野川を渡り、金沢市と白山市を結ぶ「山側環状」を車でしばらく走ると左手に丘陵地が広がる。金沢大学角間キャンパスだ。クマやカモシカが息づき、コナラ、アベマキなどの広葉樹が広がる２００万平方メートルの森に、工学部や法学部が点在する。本部棟までは山側環状から約２キロ、標高差約６０メートル。ケヤキの街路樹が色づく急な上り坂は歩けば４０分。学生たちは、通学を「登山」「下山」と呼ぶ。
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　１９８９年に金沢城の中から三つの学部が移転して２０年。田畑と雑木林だった角間の丘は一変、大学をとりまくように若者向けのアパートやマンション、山側環状沿いには大型スーパー、衣料品店、飲食チェーン店が立ち並ぶ。３６店が加盟する地元・杜（もり）の里商店会は、自らを金沢大学の「門前町」と呼ぶ。「ないのは大型書店と大型電器店くらい」と男子学生。インターネットと車の普及で、「学生街」は様変わりした。

　学生の門前町は金沢Ｂ級グルメの集積地でもある。

　「金沢カレー」は、カラメルなどを入れて煮詰めたドロリとした黒いルーの横に、シャキシャキのキャベツを添える。好みでカラリと揚げたカツをのせ、サッとソースをかける。口の中で異なる食感が絡み合う。フォークで食べる金沢発祥の味。松井秀喜の活躍とともに、ニューヨークに進出した店もあり、米国人ジャーナリストが絶賛してネットで話題だ。三つのチェーン店のうち「ゴーゴーカレー」と「カレーのチャンピオン」の二つが杜の里に店を構える。

　「第７ギョーザの店」では、長さ４～５センチ、幅と厚さが３・５センチという巨大俵形揚げギョーザ「ホワイトギョーザ」が人気。キャベツとニラがたっぷり、１０個４２０円という安さとボリュームで、県外客も集め、昼時や夕方には１００台の駐車場も満車。もともと、６４年に医学部のそばに誕生。大学の移転とともに、追っかけるように杜の里に引っ越してきた。客の６～７割が大学生だ。

　とはいえ、金沢大学生の食費は昼３７４円、夜６１４円（０８年同大学生協調べ）。生協御用達の学生にはＢ級グルメは、仲間と奮発する「ぜいたく」だ。（那波智彦）

【ＤＡＴＡ】

　■金沢大学　１８６２年、加賀藩が作った種痘所が起源。１９４９年、連合国軍総司令部（ＧＨＱ）が接収していた金沢城跡に「城の中の総合大学」として誕生。８９年、角間地区に移転開始。０４年、国立大学法人に移行。０９年５月１日現在、学部生７９９３人、大学院生２２５１人。

　■金沢大学資料館　中央図書館内の資料館では１１月１３日まで、特別展「彰往察来（しょう・おう・さつ・らい）―２０年目の角間キャンパスから城内を想う」を開催中。金沢城にあったころの大学の写真や明治時代の金沢城にかんする資料など１５０点。午前１０時～午後５時。３１日と１１月１日以外の土日祝は休館。入場無料。

　■すみれ亭　南地区にある自然科学系図書館２階。キャンパスを一望できるレストラン＝写真＝。午前１１時～午後２時、日替わりランチ（コーヒー付き）は８５０円。休みは土日祝日。一般利用可。

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