「Ｂ級グルメ」と呼ばれる、ご当地自慢の食べ物が地域おこしの主役を演じている。県内では各務原市の「各務原キムチ」、郡上市の「奥美濃カレー」が安くてうまい食べ物を集めた「Ｂ―１グランプリ」に出場するなどわがまちのアピールに一役買っている。

　Ｂ級グルメとは、高級食材を使った値段の高い料理に対し、千円もあれば満腹になる庶民的な味自慢を言う。地元の食材を用い、話題性などが共通項になっている。

　「昔からこの町ではみんなが食べている。だが、よく考えてみればほかでは味わえない一品」―そんなＢ級グルメがなぜ地域おこしの主役になれるのか。

　Ｂ級グルメはその町に出かけないと食べられない。現地に足を運ぶ人は、ついでに観光したり、土産も買う。その土産をもらった人の口コミで人を呼び込む、地域の広告塔にもなる。

　外からたくさん人を呼ぶためにメディア戦略は欠かせない。Ｂ級グルメのいわれ、秘伝の調理法、古里への思い入れ、遊び心、意外性がそろえば宣伝効果は抜群だ。「各務原キムチ」は遊び心、意外性でＢ級グルメのお墨付きを得てきた。

　韓国ドラマ「冬のソナタ」のロケ地として人気のある韓国・春川市と姉妹都市の各務原市は２００４（平成１６）年、提携１周年イベントを開いた。会場でよく売れたキムチを目に留めた若手市職員が「まちおこしに」と提案、０５年１月に「キムチ日本一の都市（まち）研究会」ができ、両市特産のニンジンと松の実を入れた「各務原キムチ」が誕生した。メディアに取り上げられ、たちまち人気商品になった。

　「各務原キムチは、ゼロから生まれたＢ級グルメ。記者の『何で？』の疑問を逆手に取った宣伝が奏功した」と同研究会事務局の服部憲浩さんは話す。

　次の課題は「白菜の地産地消とキムチ料理の開発」。知名度の向上は地域づくりの第一歩。柔軟でしたたかな知恵とマンパワーが成否のカギを握る。

　（論説委員・土屋康夫）

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